海外で働いてみたい!
海外生活を楽しみたい!
このように思ったことはありますか?
私はカナダを離れて日本に来て「海外生活」をしていますが、ビザやお仕事探しなど、外国人ならではの難しさを体験しました。
では、日本人として海外で暮らすのはどうでしょうか?
この記事はイギリス在住のライター、あつこさんが書いたものです。イギリスには21年間在住しており、海外移住の経験がとても豊かです。
海外で短期在住から長期在住を考えているあなたに、たくさんのヒントが提供できるはずです。
海外で仕事をしたい!どうやって始めればいいの?
海外で暮らしてみたい、働いてみたい、と1度は夢みたことはありませんか?
でも、どうしたら実現できるの?何から始めればいいの?様々な疑問が浮かびますね。
そこで、2つのケースに分けて、具体策をまとめました。
20代/30代前半でいきなり海外に行って仕事を探す場合
①ワーキングホリデー
もし年齢が18-30歳であれば、ワーキングホリデーで行きたい国に1年間滞在して働くことができます(オーストラリアは最長3年間)。
とりあえず現地で働くチャンスが得られるので、その間に滞在国の様子を知り、現地で得た人脈を活かして次の職探しをすることができます。
②現地日系人材派遣会社を利用する
もしも専門的なスキル(建築士、ITエンジニア等)を持っていたり、ある程度日本で働いた経験があるなら、現地の日系人材派遣会社を利用することをおすすめします。
なぜ日系かというと、やはり仕事で日本語が使えることが、ビザを取るにしても大きな要素となるからです。
一般事務のような仕事となると、日系企業で働くと言っても、現地企業とのやり取りもありますから、ある程度英語力がある方が、即戦力としてより採用されやすいといえます。
専門スキルを持っている場合
イギリスの場合、専門スキルがあれば、Skilled Workerとして就労ビザが取りやすくなります。
会社が求めるのも英語力よりも、専門スキルそのものですから、現地で就職しやすいといえます。
例えば、日本で建築士として働いていた人が、才能を認められて、ロンドンの建築事務所に採用される、といったケースですね。
専門スキルがあるなら、現地の各種専門人材派遣会社への登録をおすすめします。
建築系、IT系、土木技術系等、自分の専門とマッチする人材派遣会社を探してみましょう。そこで、「Japanese Speaker」と書かれていれば、さらにチャンスですよ!


20代/30代で夫と一緒に海外に行く場合(夫が外国人、または日本人で就労ビザを取得している場合)
①現地人材派遣会社
夫が外国人である場合、または日本人で現地就労ビザがあって仕事をしている人の場合は、配偶者であるあなたにも就労ビザのステータスがつきます。
その場合、ビザのことを心配せずに就職活動ができますから、英語力に応じて、現地の日系人材派遣会社や現地人材派遣会社に登録することがいいでしょう。
②日本人向けコミュニティ情報誌
イギリスには、日本食スーパーマーケットやレストランに行くと、いくつか在住日本人向けの情報誌が置いてあります。
それらには、求人欄が載っているので、大いに活用できますね。他の国でも同類の情報誌が発行されていますから、現地に着いたらチェックしてみましょう。
③人脈・現地求人広告
人脈、と言っても、現地に着いて間もない頃は、まだそこまで広い人脈はありませんよね。でも、例えば、夫の会社の人たちに、妻が仕事を探していると一言言っておいてもらえば、そこから何かつながるかもしれません。
たまたまお友達になった人、偶然知り合った人が意外と仕事の話を持ってきてくれることもあります。
あとは、張り紙や求人広告ですね。
飲食店は小売店は、店先に求人広告を貼っている場合が多いです。とりあえず何か仕事を、と思っているなら、思い切って雇い主に話を聞いてみるのもいいですね。
あつこの経験 : イギリスで仕事をやってきて感じていること
自信なんて全くなかった
イギリスに着いた当初は、英語の自信もなく、これといったスキルもなく、自分が働くことなんて想像もできませんでした。
日本では、英会話学校の営業とアシスタントティーチャーをやった経験や、ウェイトレスの仕事の経験しかありませんでした。
イギリスの小さな地方の街で、「何がわたしにできるんだろう」とモヤモヤした気持ちを抱えていた自分の姿が思い浮かびます。
最初の仕事のきっかけ
1番最初の仕事のきっかけは、イギリスで住み始めて1年ぐらい経った時。
街に新しくできた、素敵だなぁと思ったインテリアショップに立ち寄ったことでした。
オーナーさんが、自分と同じ歳の、イギリス生まれの香港人。なぜか初めて出会ったのに意気投合し、2、3回ほど訪ねた後に、ショップアシスタントをやってくれないか、と頼まれました。
この仕事は数ヶ月でしたが、ここで培われたのが英語力でした。
オーナーさんが友人にもなったので、いろんなことを英語で話し合える機会が持てたのです。彼女とは、仕事で買い付けの現場にも連れて行ってもらったりしましたし、プライベートでも良く一緒に過ごしました。もちろん今でも、付き合いの長い親友の1人です。
次の仕事は校長秘書
その後、同じ街にあった日本の某大学の分校で、バッタリ出会った日本人の校長先生に、パートで秘書をやらないかと声をかけられました。ここで2年ほど秘書としてのキャリアを積むことになります。
ここで働く間に、イギリス人スタッフとも完全に英語でやりとりができるようになっていました。
今振り返ると、小さな街だったので、とにかく降ってきたチャンスは掴むしかない、と、職種も選ばずに何かしら仕事を始めたことが良かったのかな、と思います。
英語力とキャリア、同時に築き始めることができたのですね。
ロンドンに移る
その後のロンドン日本大使館での仕事は、日本人向け情報誌の求人欄で見つけました。
地方の街からロンドンまで面接に行くときは、分校で一緒に働いていたイギリス人の同僚の友人にお世話になることになります。
久しぶりに日本人と一緒に働く環境。現地採用の同じような立場の女性が多かったので、とても楽しかったですね。
妊娠・出産・育児を経て、幼稚園の教員となる
出産・育児の間は7年間専業主婦でしたが、その後、すでに現地の幼稚園でスタッフとして働いていた日本人のママ友から、ボランティアで働いてみないか、と声をかけられました。そのボランティアから、流れで幼稚園の教員資格を取ることになり、1年後には正社員として働くことになります。
ここでは、英語のコミュニケーションだけでなく、イギリスの教育システムの理解も進みましたし、レポートの書き方も身に付けることができました。幼稚園での仕事は、並行していた自分の育児にも、大きな影響を与えてくれたと感じています。
残念ながら、コロナ禍の前に、幼稚園が閉じてしまい、そこで退職せざるを得なくなりました。コロナ渦の間は、それまで忙しく働いていた分、家族で一緒に過ごせる時間を頂いたのだと思い、ゆったりと過ごしました。
幼稚園の教員からウェイトレスに
コロナが明け始めた頃、かねがね、「ウェイトレスの仕事って楽しいよね」と話していた友人から、日本食レストランでのウェイトレスの仕事を紹介してもらい、現在に至ります。

ウェイトレスは、日本に住んでいた頃に楽しんでやっていた仕事でした。
一緒に働いていたスタッフからも、「これはあつこさんの天職ですね」と言われたこともあります。
今では2店舗掛け持ちでやっているぐらいなので、やっぱり性に合っているのだろうな、と思いながら、楽しんでいます。
度胸と英語力はついた
わたしのキャリアの積み方は、職種もバラバラで、結局何のスキルが身についたの?といった感じですね。
でも、それぞれの仕事が、その時その時の自分のイギリス生活の進み具合と一致していて、これはこれで良かったんだろうな、と納得しています。
いろんなことをやりながら、年齢も重ねてきているので、怖いものなし!と言えるかもしれません(笑)。
海外生活では柔軟性が大切
日本に住んでいたら、こんなに色々な経験を積めなかったかもしれない、とも思います。とにかくご縁でいただいたチャンスに、「面白そう」「できるかもしれない」と乗っかってきた結果です。
海外で暮らすには、何が1番大切か?と聞かれれば、「柔軟性」だと答えます。物事が思わぬ方向に進むこともある。でも逆に、それを楽しもう!という冒険心を忘れないでいたいと思っています。
日本で海外の仕事を見つける方法
では次は、日本にいながら海外での仕事をどのように見つければいいか、一緒に見ていきましょう。
①日本の人材派遣会社で海外求人を探す
まずは、日本にある人材派遣会社/転職サイトをチェックしてみましょう。
職種検索や手続きも全て日本語でできますし、日本から人を呼ぶことが前提となっていますから、ビザの問題もクリア済みかクリアしやすい状況であるはずです。
②現地にある日系人材派遣会社で探す
やはり次に使いやすいのは、現地にある日系人材派遣会社です。
就労ビザを持っていることが前提となっているケースが多いですが、情報も現地であるだけに多いですし、どんなチャンスが潜んでいるかは分かりません。
③現地の人材派遣会社や転職サイトで探す
英語での検索となりますが、現地の情報が1番とりやすい方法です。
LinkedinやIndeedといった転職サイトもありますので、世界中どこからでもアクセスできます。
登録して、自分のプロフィールを作っておくと、求人している会社もあなたの情報を得ることができますね。

女性が海外で働きやすい職種
では、女性が海外で働きやすい職種はなんでしょう?
ここで、海外で日本人女性がよく就いている仕事をまとめました。
- 日系企業の事務・営業
- 日本食レストラン
- 日本語教師
- 旅行業
- 留学エージェント
- 日系人材派遣会社・コンサルタント
- 翻訳・通訳業
- ITエンジニア
- 看護師
- 保育士
やはり、日本語が活かせる仕事が多い日系企業、日本語関係の仕事、海外に来た日本人旅行者や留学生のお世話をする仕事が多いです。
あとは技術職として、どこの国でもIT業界は拡大しているため、ITエンジニアの需要も高まっています。
看護師や保育士も、日本人の就業率が伸びてきている職種です。
ただ、看護師は、日本で看護資格を持っていても、国によっては現地資格も取得必要があります。保育士も、現地で資格を取らなければならないですが、ある程度の語学力があれば、資格取得しやすい職種です。
特に移民の多い、大きな都市では、需要も高い職業です。
海外で働くためにどんな準備が必要?
海外で働くために必要な準備を、出国前と出国後に分けてみてみましょう。
海外の仕事:出国前
①パスポートの取得または更新
まず、パスポートを取得します。すでに持っている場合も、充分に有効年数が残っているか確認し、渡航先の入国の際に必要な日数が残っていなければ、更新しましょう。
②渡航先で働くために必要なビザの取得
ワーキングホリデービザ、就労ビザ、Skilled Workerビザ等、自分に必要なビザを取得します。
③渡航先の文化や物価、社会状況を調べる
渡航先の生活慣習や気候、物価や社会の安全性を下調べしておくことは役立ちます。
例えば、日本より緯度の高い国では、寒さが違います。日本では気持ちのいい10月でも、その国では震えるほどの寒さだったりします。
物価の高い国だと、その心づもりをしていなければ、日本にいる時と同じような感覚で買い物をすると結構な出費になってしまいます。
また、特に女性は、夜一人で出歩いたりしても安全か、といった安全性も知っておきたいですね。
④渡航先での滞在先を決める
ひとまず着いてからの滞在先を確保しておきましょう。
とりあえず1週間ぐらいならホテルでもいいですし、Airbnbで1ヶ月ぐらい部屋を借りて、じっくり落ち着き先を決めることもできます。
⑤渡航先の言葉を練習する
渡航先が決まったら、とにかくその国の言葉を練習しましょう。もちろん、実際暮らし始めてからでも身につきますが、海外移住の先輩たちが口をそろえて言うのが、「日本でもっと勉強しておけばよかった!」です。
日本で基礎語力をつけておけば、現地についてからの習得速度は、絶対に早いです。
⑥日本の国民健康保険、年金切り替え、海外転出届などの諸手続き
日本の年金・保険関係の手続き、海外転出届、海外保険加入といった手続きを済ませておきます。
役所のウェブサイトを調べたり、実際に訪ねて、海外転出届の際に必要な手続きを確認することをお勧めします。
*日本と違って海外は「自分で調べる」ことを前提としています。親切に教えてくれる人はあまりいなくて、リソースを教えてもらって自分で読むのがほとんど。ここが、文化の違いですね。
海外の仕事:出国後
①在留届提出
現地に着いたら、日本領事館で在留届を提出します。現地での滞在先・連絡先を知らせておくためです。
その国に緊急事態が起きた時には、領事館から連絡がくるようになっていますので、必ず提出しておきましょう。
②語学コースを受ける
もし、いきなり仕事だけで英語を身につけるのが不安なら、現地での語学講座に参加するのもいいですね。
例えばイギリスですと、自治体によっては、移民のための英語講座を提供しているところもあります。こういうサービスは、比較的安く参加できます。
こういうコースに参加することで、知り合いもできたりするので、一石二鳥です。
③現地で就職活動する場合
就労ビザ以外のビザで入国した場合(学生ビザ、ワーキングホリデービザからの切り替え等)、現地で就職活動を行うのに必要な書類があります。
英語の履歴書、日本での最終学歴の卒業証明書(英語)、前に勤めていた会社のリファレンスレター(英語)、といった書類です。
特に卒業証明書やリファレンスレターは、発行してもらったり、送ってもらうのに時間がかかるので、前もって準備しておくか、日本出国前に入手しておくのもいいですね。
英語を喋らないとやっぱり無理なの?
職種によっては英語はそこまで話せなくても大丈夫
例えば、日本食レストランのシェフや日系の美容室の美容室として働くなら、英語があまり話せなくても、技術でやっていけます。
もちろん、お客さんとやりとりをできる方が、より自分も楽しく、より顧客が増えたりとメリットはたくさんありますが、とりあえずは働き始めることができます。
また、専門性の強い職種であれば、とりあえず専門用語さえ押さえていれば仕事を進められます。英語は採用されてからでも、ミーティングや電話応対などをこなしていくことで慣れていけます。
わたしの周りでも、多くの日本人が、「こっちで働き始めたら、やっぱり日本でもっと英語を勉強しとけば良かった、って痛感する」と言いますが、結局はみなさん、立派に現地で働いています。
英語力は現場で身につく
本当の意味での英語力は、現場でこそ身につきます。毎日毎日話して、タイプして、書いて使うので、必ず身につきます。
そして意外と、問題が起こってパニック状態!というときに、火事場の馬鹿力、といいますか、気づくとスラスラ話して問題解決している自分がいたりします。
こうした体験の積み重ねで、度胸と共に語学力もついていきます!
海外の仕事:コロナで変わったこと?
コロナ前より在宅ワークが増えたイギリスのワークシーン
パンデミックから、かなり普通の生活状態に戻りつつあるイギリス社会ですが、やはりコロナ前と比べて、在宅ワークをする人が増えました。
政府は、景気回復を図るため、会社出勤を推奨していますが、週5日みっちり出勤するスタイルは、以前にようには戻っていないのが現状です。
女性として海外で暮らすのはどう?
日本人女性として暮らすメリット
①日本人として受ける高い評価のおかげで受け入れられやすい
イギリスは世界の中でも、有数の移民国家なので、特にロンドン市内や近郊であれば、殆ど違和感なく暮らせます。
今では、日本に旅行したり、日本で暮らしていた、という人も多くいるので、日本の社会や文化がどれほど発達しているか、ということも広く認識されつつあります。
日本人の礼儀正しさや親切心も、とても高く評価されているので、そういったコメントをいただく時は、本当に誇らしく、嬉しいです。
初対面の時点で、すでにいい印象を持ってもらえるのは、とてもラッキーなことだと思います。
②「言葉と人種の壁のおかげ」でややこしい関係に巻き込まれにくい
語学力が足りない、やっぱり外国人としての疎外感を感じる。。。異国で暮らすには、つきものの悩みです。でも、それが逆手となって生きやすいな、という場面もあります。
なぜなら、ネイティブほどの語学力がないおかげで、良くも悪くも周囲の情報に疎くなります。日本でなら100%分かることも、外国暮らしだと、その人の語学力にもよりますが、100%とはいかなくなります。
つまり、周りの人間関係の情報も入ってきにくくなるので、自然といざこざに巻き込まれなくなります。
例えば、子供の学校で、ママ友から、「AさんとBさんが子供のことでもめて大変だったのよ」と後から聞かされてビックリ、というようなことがよく起こるのです。
③欧米ならではの「レイディファースト」を経験できる
女性を大切に扱う文化があるイギリスやヨーロッパでは、優先的に席を譲られたり、さっと先にドアを通してもらえたりと、「レイディファースト」の経験ができますね。
日本人女性として暮らすデメリット
①情報に疎くなる
日本人として暮らすメリット②でも言及しましたが、やっぱり情報の取り方が日本に住んでいる時と比べて100%ではなくなってしまいます。
ですから、職場の同僚でも、子供の学校でも、イギリス生まれのイギリス人の知り合いが1人でもできると、とても助かります。
②いろんなことを任されるようになってしまう
ノー、と言いにくい日本人は、あれこれ頼まれてもなかなか断れません。
そして、仕事を期日通りに仕上げたり、丁寧な仕事をするので、さらに頼まれやすくなります。
イギリス人は、「わたしはもう仕事に追われてアップアップしているんだ」とハッキリ言わない限り、この人は大丈夫だからやっているのだと思って次の仕事を与えてきます。
ここは日本人的には心を鬼にして、「ノー」と言わなければならない場面ですね。
③外国人だからとつけ込まれる
残念ながら、「言葉がどうせ分からないだろう」「こっちの事情に疎いだろう」と思って、つけこむような行動をしたり、態度をとるような人もいるのも確か。これも経験を積めば、嫌な人や怪しい人はキャッチできるようになります。
こちらも毅然とした態度で臨むことが大事ですね。
海外で働いてわかったこと
日本人であることにもっと自信を持っていい
周囲との和や他人のことを考える文化を持つ日本人は、海外でも受け入れられやすいです。
空気を読む。こんな目に見えないことを大切にできる人種は、日本人だけだと言っても言い過ぎではないでしょう。
この能力は、海外で暮らしていくのに、とても役立ってくれます。
そして、往々にして日本人は、チームワーク力が他の民族と比べて秀でています。効率よく仕事をこなす能力が非常に高いです。
海外で働いてまずわかったのは、とにかく日本人であることを誇りに思っていい!ということでした。
必要なのは勇気、失敗は経験となるだけ
何事もやってみなければ分からないことはたくさんあります。
そもそも、日本を出て海外に来た、というだけで、自分は立派な勇気の持ち主なんだ、と自信を持って大丈夫です!
少しでも、「やってみたいな」「やってみようかな」「できるかもしれない」と感じたものには、挑戦してみる勇気を持っていてほしい。海外でだからこそ経験できることがたくさんあるからです。
たとえ結果が思うような結果にならなかった、失敗だったかな、と思ったことも、それは経験を積んだに過ぎません。その経験が、自分の人生や考え方に深みを与えてくれたと思います。
郷に入らば郷に従えも大事
海外の職場では、自分の意見や考えをしっかり伝えることはとても大切です。自分の国の考え方、やり方の方がいいのにな、と思う場面に遭遇することもしばしば。
ですが、「こうあるべき」という自分の固定観念を一旦外して、その国での仕事のやり方を観察することは、自分にとっていい経験になります。
何か問題に直面した時に、「ええー、日本でならこうやるのになぁ」と思ってモヤモヤするよりも、「せっかくここにいるんだから、こっちのやり方を見てみよう」と切り替えると、物事を多角的に見れるようになります。
そして結局は、郷と日本の両方の良い部分を取り入れて仕事ができるようになります。
世界は優しい
移住をしたときは、海外で、違う言葉を使って暮らす上に、現地の人たちと一緒に仕事をするなんて、と、2つも3つもハードルがあるような気持ちになりました。
でも、結局は、言葉や見かけは違っても、同じ人間です。言葉が通じなくても、思いはわかったよ、と理解しあえることはたくさんあります。
お互いに一生懸命働いていることを認め合えます。
世界は自分たちが思うよりも、もっと優しい、ということを知ることができました。
まとめ
アイデンティティの混在化が進む社会
わたしの子供たちは、血や見た目は日本人です。でも、本人たちのアイデンティティはイギリス人と言えます。ですが、もう彼らの世代を見ていると、国籍や肌の色といったことで、人をくくることが不可能になってきたことを感じます。
1人の人間の中に、遺伝と環境からくるアイデンティティが2つも3つも混在している。そういった人がどんどん増えてきていることを感じます。
それが良いことなのか、残念なことなのか、わたしにはジャッジできません。
アイデンティティの融合は、より世界の一体化を強化してくれますが、その反面、各国の文化や伝統が薄まってしまう、という傾向も見られるからです。
ただ、そういう人がたくさんいて、受け入れられている社会に、自分としては心地良さを感じている、だからそこで生きている、といった感じです。
グローバルな生き方でいたい
これから先、どこでどんな風に暮らしていこうか、ということは、はっきりと決めていません。
イギリスでの生活が長い分、知人・友人も増えたので、ここをやはり拠点にしていくのかな、という気はしますが、決めつけてしまうのはやめようと思っています。
もっと自分が心地良さを感じられる土地と出会ったなら、そこに移ってもいいな、という余白を心に持つようにしています。
子供たちには、イギリスに限らず、生きたいところで、生きたいように生きることを勧めています。
世界は広いから、自分も家族も、その時その時のご縁や出会い、自分たちの心に沿って生きていこうと考えています。